子どもの幸福度、日本は「貧困率」で下位
OECD(経済協力開発機構)が今月発表した「よりよい暮らしの指標2015」で、
日本の子どもの貧困が深刻な状態にあることが示されました。
同調査によると、日本の子どもの貧困率は15.7%で、OECD加盟36カ国の平均13.7%を上回っています。
経済的にも豊かであるはずの日本で、なぜ子どもの貧困率を減らすことができないのでしょうか。
・親の経済力による教育格差
日本では義務教育制度のもと、すべての子どもに教育の機会が開かれています。
今回のOECDの調査でも、日本の子どもは、教育を受ける権利を剥奪されることなく、
高い学力を有し、創造性や問題解決能力に優れていると評価されています。
しかし、実際のところはどうなのでしょう。
高校や大学、専門学校などに進学したくても、学費が払えないために諦めざるをえないという子どもは少なくありません。
そうした子どもは職に繋がる知識や技能を得られず、低賃金の仕事を余儀なくされます。
また、奨学金を借りて進学した場合でも、卒業と同時に数百万円もの学費の返済が肩にのしかかります。
一方で、教育にかかる費用は上昇傾向を続けています。
※在学費用とは、授業料や教材費、学用品代、通学費用といった学校教育費だけでなく、学習塾やおけいこごと、参考書等の購入費なども含む費用のことです。
小学校を公教育のスタートとすならば、公教育内で一見平等に教育されているように見える子どもたちは、実はスタートの段階で大きな差がついてしまっているのです。
そして、スタート時点で生じた差は逆転することは難しく、むしろ年齢とともにどんどん開いていきます。
残念ながら今の日本では、子どもの能力や希望とは無関係に、親の経済力によって教育の機会が左右されるというのが現実です。
・貧困は親子間で連鎖する
貧困家庭で育った子どもは、職業選択の幅も限られ、大人になっても貧困から抜け出せません。
貧困の負の連鎖は、親子間で続いていく傾向にあるのです。
(参考:貧困の世代間連鎖の実証研究)
このことをOECDは「人生のスタート時から格差が生まれている」と指摘しています。
さらに、家庭の経済状況は健康状態や成績、友人関係に影響を与え、人生の満足度までも左右するといいます。
特に貧困率の高いシングルマザー、共働きの家庭では、親が夜遅くまで働きに出ているケースも多く、夜間ひとりで過ごす子どもがいます。そうした環境では、必要なコミュニケーションを得られないことから、自信を喪失し、学習能力が低下するという悪循環が起こります。
児童養護施設に来る子どもたちも、最初は自信喪失状態であったり、学力が該当学年よりも1・2年下にあるということがあります。
貧困の連鎖を断ち切るには、教育支援とともに、子どもの生活支援も重要な課題となっています。
・不利な環境を克服すには!?
家庭の社会経済的背景と子どもの学力との間には相関はありますが、家庭の社会経済的背景が低いからといって、必ずしも全ての子どもの学力が低いわけではありません。
子供の学習時間は、全ての家庭の社会経済的背景で学力との関係が見られ、学習時間は不利な環境を克服する手段の一つと考えられます。
(参考:ベネッセ教育研究所)
学習意欲は高いがさまざまな事情で、学習を諦めざるを得ない子どもたちへの教育環境が整っていません。日本家庭学習支援協会では、子どもたちへの学習指導、教育環境の刷新にむけた研究・開発に取り組み、さまざまな教育機関を活用しながら、学力格差の是正に取り組んでいます。